青山学院大学教育人間科学部心理学科・大学院教育人間科学研究科心理学専攻臨床心理学コース 平山研究室紹介

大学で平山が担当している主な授業

現在、以下の授業を担当している。学部では、「臨床心理学Ⅰ・Ⅱ」、「精神分析学」、「心理療法実習」、「卒業研究Ⅰ・卒業研究Ⅱ」、「基礎心理学」および「心理学研究法」(心理学科教員全員で担当)。また、大学院では、「臨床心理面接特論Ⅰ・Ⅱ」、「臨床心理基礎実習・臨床心理実習」(臨床系教員全員で担当)、「心理学研究法演習Ⅰ・Ⅱ」(心理学研究科教員全員で担当)。この中から、「臨床心理学Ⅰ・Ⅱ」、「心理療法実習」について次に紹介しよう。

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「臨床心理学Ⅰ・Ⅱ」

歴史、方法論、専門職教育、卒後訓練、関連法規と倫理規定などの分野と項目を別にすれば、学問としての臨床心理学は、心理査定(アセスメント・診断)と心理療法からなっている。心理査定には、各種心理検査、DSM5などの精神疾病分類、病態水準、そして、アセスメント面接(受理面接、見立て面接、診断面接、力動的定式化など)が含まれる。心理療法には、精神分析学・対象関係論、ユング心理学、来談者中心療法・人間性心理学、集団心理療法、グループ・アプローチ、家族療法、認知行動療法・行動療法、その他の心理療法、そして地域介入が含まれる。この授業では、臨床心理学の理論と実践、とりわけ心理査定および心理療法についての理論的基盤と治療の実際について扱う。理論的には、精神分析学・対象関係論、人間性心理学・来談者中心療法、グループ・アプローチに焦点を当てる。具体的には、アセスメント面接の概要、個人心理療法面接の実際、グループ・アプローチと集団心理療法の実際、学派の問題とアイデンティティといった内容について扱う。

精神分析学は、現代臨床心理学において最も中核的な理論体系であり、精神病理と心理療法の双方を射程に入れた体系である。また、現代の精神分析学は、フロイトの古典的精神分析学を出発点とし、クラインによって創始された対象関係論によって大きな変貌を遂げている。この対象関係論に基づく精神分析的心理療法の実際について検討する。

次に、臨床心理学における第二の中核的理論体系である人間性心理学を取り上げる。人間性心理学は、古典的精神分析学に対するアンチテーゼとして発展してきたという性格を有しているので、精神分析学と併せて学ぶことでその意義がより深く理解される。さらに、個人アプローチとグループ・アプローチとの比較についても検討する。

心理療法実習

この授業は、様々な症状や問題を抱えている学生に対して心理療法を提供するものではない。

この授業では、むしろ、心理療法とはどういうものであるのかについて、「臨床心理学Ⅰ・Ⅱ」(2・3年次開講科目)で学習する心理療法諸理論や諸概念を実地体験とつなげていくための入門的、あるいは基礎的な体験的学習の機会を提供しようとするものである。3年次生で、この授業の履修を希望する者は、2年次または3年次に「臨床心理学Ⅰ・Ⅱ」を履修することが望ましい。

授業では、模擬カウンセリングを行うトライアル・カウンセリング実習、8人程度の小グループ状況を用いたグループ・アプローチ実習などを行う。

他の参加者の前で自己を語れると同時に、自己の経験を客観視しながら、自己と他者との交流や、自己の経験について深く理解していくための、情緒を含みこんだ思考力を維持できることが必要である。同時に、他者の話を傾聴し、理解を深めることが期待される。

本当に人の話を理解するためには、相手を理解する際の自分の中の相手のイメージや自己イメージについての枠組み自体が変化することを自分自身に許容できることが必要となる。深く眼前の他者の語りに耳を澄ませることは、深く自分自身の心に耳を澄ませることでもある。そうした作業は、いざやってみようとすると、いろいろな不安が沸き起こってきてしまう。不安はたちどころに行動によって打ち消されて、防衛されてしまう。そうしたプロセスは、「相手のために」「よかれと思って」という枠組みで行動化され、ほとんど本人自身にも気付かれない。だから、他者の不安な内面を受け止めることは、言葉で言うほど簡単なことではない。どうしても通常の、アドヴァイスするような、日常生活の延長線上の対応となってしまいやすい。どうやってお互いが少しでも深い自分の感覚やフィーリングに触れられるのか、そのための自分なりの在り方を見つけていってほしい。

毎回出席すること、自分を語れること、自分と他者の内的フィーリングや不安に触れられること、それらについて思考し、吟味できること。また、学外で数多く開催されているエンカウンターグループにも積極的に参加してほしい。エンカウンターグループの案内については、最初の授業で配布する。

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大学研究室(ゼミ)紹介

次に、大学研究室(平山ゼミ)を紹介しよう。ゼミでは、論文作成に向けた文献検索・文献紹介、研究発表、討論、レジュメ作成といった作業が中心的な活動となる。

また、臨床心理学の研究は、その実践と深く分かちがたく結びついているので、臨床研修が研究上の観点を深める上でも大きな位置を占めている。

臨床心理学や心理療法でいう自己理解とは、絵空事ではなく、実質的な経験であり、訓練としての側面が大きい。心理専門職は、現在の日本では、まだあまり認識されていないけれど、実際は、医師、弁護士、公認会計士やMBAなどと並んで高度な専門性を有するものである。これは紛れもない事実なのだが、この国では心理専門職という国家資格がないために、国民に知られていないのである。そして、もっと困ったことに、学生もここを勘違いしていると言っていい。

一方、臨床心理学や心理療法における実践技量は、教育・訓練だけで身に着くとばかりは言えない領域でもあり、自ら挑んで自分なりの道を切り開いていくようなところがどうしても必要になってくる。

ところが、心理専門職については、ただ「理想的に優しい人であればよい」という原始的な幻想がはびこっており、「訓練は不要」で、「優しい人なら誰でもカウンセラーになれる」という勘違いをしている学生は実に多い。理想的には、科学的研究と臨床訓練・研修が車の両輪のように連動して、相互によい影響を与えあうのがよいだろう。一方、論文作成は具体的なタイムリミットがあり、現実的な妥協が必要だし、科学論文作成のロジックで思考を展開させることが必要となる。つまり、問題設定の適切さ、採用する方法論の妥当性、得られたデータや結果の分析、考察の適切さなどを総合的に検討することになる。

一方、臨床訓練・研修については、長いタイムスパンを持ち、自分の臨床的な思考、経験、センスを磨き続けなければならないし、これには終わりがない。

研究論文作成

次に、私の研究室、つまりゼミを紹介したい。ゼミは、現在は、水曜日2限と土曜日3限に開催している。自分の都合のよい方に参加するというので構わない。ただし、学部生は院生との交流を大切にしてほしい。院生の研究発表に参加することで学ぶことが多いものである。後の時間帯が空いている場合は延長もありうる。他の授業を履修している学生は途中で退室して構わない。ゼミの発表や行事はメーリングリストで管理している。大学院生、4年生、3年生が合同でゼミに参加して、各自の研究テーマを追求し、研究計画を発表し、調査・面接・実験などを通して、論文を仕上げていく。

(1)ゼミ方針と論文作成

臨床心理学領域における研究論文を執筆しようとする学生に助言指導を行う。私の専門は、臨床心理学、精神分析学、人間性心理学である。これまで研究室で展開してきた研究テーマは幅広く、次のようなテーマが含まれる。①エンカウンター・グループとグループ・アプローチの効果・過程・心理的成長メカニズム、②心理的成長と自己実現:心理的成長、自己実現、適応、自己受容、自己評価、自己理解、精神健康、依存・独立、パーソナリティ研究(心理検査・心理テスト・投影法・描画法・質問紙法)、③抑うつ・不安・精神病理:抑うつ、不安、心的外傷後ストレス障害、心理的不適応、劣等感、精神病理、自己愛、人格障害、境界例、自傷行為、摂食障害、自殺、行動障害、不登校、いじめ、④カウンセリング・心理療法:カウンセリング、心理療法、精神分析、学生相談、スクール・カウンセリング、⑤アイデンティティ・青年期:アイデンティティ、孤独、青年期危機、青年期研究、⑥人間関係:友人関係、異性関係、対人関係、人間関係、自己開示、⑦親子関係・夫婦関係・育児:親子関係、家族関係、夫婦関係、育児態度、育児不安。⑧文化とメンタルヘルス、⑨その他にも幅広い研究が展開している。

各自の研究テーマをみつけ、絞り込み、そうしたテーマが心理学領域で従来どのように研究されてきているのかについて文献研究を行う。比較的研究テーマが近い人たちで小グループを構成し、院生にも参加してもらいながら、自主ゼミ活動を展開するという方法も有効だろう。

ゼミの時間は、基本的に水曜日2限を予定している。土曜日3限にも開催するので、いずれか都合のよい方に参加するというので構わない。ゼミに参加することで、研究の物の見方、考え方、テーマとそれにアプローチするための方法論、レジュメ作成や論文作成についての知識が身につくだけでなく、根源的にそのテーマを考える力が磨かれることになる。各自の研究計画を作成し、発表し、皆で討論し、研究を練り上げていく作業が中心となる。他の学生の発表や討論、そして院生との交流から学ぶものも大きいはずである。

(2)研究室と連絡先

研究室:総研ビル905
住所:〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 青山学院大学 教育人間科学部心理学科
電話:03-3409-7665 メール:hirayama■ephs.aoyama.ac.jp (■を@に変更してください。)

(3)指導している研究テーマの例

指導している研究のテーマは、次のようなものである。

卒業研究のテーマ:
「家屋画からみた自我境界」、「エンカウンター・グループと自己実現」、「青年期の時間的展望と自尊感情」、「親自身が受けた養育に対する認知と子に対する養育態度との関連」、「少年による万引きの実態にみる社会の規範意識」、「母親のアイデンティティと育児ストレス」、「認知行動療法の抑うつに対する効果」、「不登校男子中学生の意識の変化」、「自閉症児の主観的世界」、「重要他者に対する再確認傾向・自己受容・猜疑心」、「心理的自立と大学生の自傷行為」、「コンパニオン・アニマルへの愛着」、「キャラクター商品の所有とストレス」、「孤独感の類型と充実感との関連性について」、「自己実現と自己肯定感の関連性について」、「青年期における自我同一性の感覚が自己開示に及ぼす影響」、「怒り対処方法と自己愛の関連について」、「大学生における自意識と自己肯定感のかかわりについて」、「ネガティブな気分状態と主体的に選択する音楽の関係について」、「バウムテストに色彩を用いることについて」、「劣等感と完全主義の関連」、「自己理解を深めるプログラムにおける他者と話し合うことの効果についての一考察」
修士論文・博士論文のテーマ:
「エンカウンター・グループにおける初回参加者と多数回参加者の体験過程の違いの検討―『ありのまま』の自己受容に焦点を当てて―」、
「青年期以降に「発達障害」と診断されることが与える心理的影響とその経験を取り入れていく過程について」、
「フォーカシングに関する一考察」、
「心のメッセージとしての自傷行為・自己破壊行為に関する研究-フェルト・センスに注目して」、
「他者との関わり方から見た、対人恐怖心性‐自己愛傾向2次元モデルにおける性格特性の検討」、
「産業領域でのエンカウンターグループの適用」、
「精神分析settingにおける転移関係の理解、及び解釈としての逆転移の活用について」
(4)ゼミ運営方法・卒業研究の進め方

基本的に自分のやりたいことを見つけてもらっている。自分自身の興味関心に従って問題を掘り起こす。それが従来どのように研究され、アプローチされているのかについて文献調査をし、文献レビュー・レポートにまとめて、提出する。なお、毎年、ゼミ生全員で、図書館での文献検索セミナーに参加している。各自の方向性が定まってきたら、各自の研究計画をゼミで発表し、討論し、研究計画を練り上げる。データを収集し、分析し、結果について考察を加え、論文としてまとめる。学生自身の主体的な研究への取り組みがすべての出発点である。

(5)ゼミの特徴について

自分自身の問題意識を掘り下げることを最重要視している。自分のやりたいことを見つけることはそれほど簡単なことではない。そのためには、たくさん文献を読むことと内的対話が欠かせない。次に、そのテーマをどうやったら明らかにできるのかを考えていくことになる。統計学をマスターしていることは不可欠である。しかし、それだけにとどまらず、多変量解析、テスト法、質問紙法、面接法、観察法、事例研究法など多様な方法論を検討してほしい。自分の研究テーマを明らかにするためには、どのような方法論が可能であるのか、必要であるのか、どうやって知見の一般性を確保できるのか、意味のある仮説を提出できるのかを考えてほしい。他人に説明し、討論することで、思考、論理と方法論が磨かれる。

大学院ゼミ生紹介

ゼミに所属する大学院生を紹介したい。将来、大学院進学を考えている人は、参考にしてほしい。

【博士後期課程(当時) K君】

<これまでと現在の研修と実践>

(1)大学院臨床心理基礎実習・実習
大学院臨床心理基礎実習は、主に毎週行われるカンファレンスと相談室でのケースが含まれます。カンファレンスでは様々なクライエントと担当する院生との実際のやりとりを知ることができ、そこで何が起こっていたのか、ということを理解することは、理論を理解しているだけは難しいということに気づきました。例えば、投影同一化や羨望に関する代表的な理論を知っていても、それが実際の臨床の中で起こっていることを理解することはとても難しいことでした。他の先生方や院生からの様々な意見は、自分の中で欠けていた視点に気づかせたり、「疑問の持ち方」や自分が分かっていないところは何なのか、ということに気づかせたりしてくれました。

実際のケースでは、理解することの難しさ、というものに一層気づかされることになりました。思っていたのとは違っていたり、クライエントからは予想外の反応が返ってきたり、あるいはそれに対して、自分自身でも考えてもみなかったようなことを言ったりと、カンファレンスでの、ある意味知的な理解とはさらに一線を画すような気づきがありました。そしてそのやりとりを、スーパービジョンを通して振り返ることで、理論的な理解と臨床的な理解とが相互に高め合っていく、そのような学習のされ方がありました。

(2)学部心理療法実習
内容としては様々でしたが、グループ・ワークおよびトライアル・カウンセリングが私には記憶に新しくあります。プレイルームで自由な姿勢・態度で臨むという、他の授業にはないスタイルで行うので、講義形式の授業とはまた異なったものを学ぶことができます。具体的に言葉で説明するのは難しいのですが、体験的理解の基盤であったり、「ズレ」に気づくことのきっかけとなったり、などです。

(3)学外エンカウンター・グループ(EG)
私が始めてEGにでたのは4年前、学部3年生の時でした。なぜ出ようとしたのか、表面的には平山先生に薦められたからでしたが、本当の理由はもう忘れてしまった、あるいは未だにはっきりと意識化することができないでいます。しかし、それ以来、毎年夏になるとそろそろEGの季節だなあとわくわくしています。そこでは、自分自身でいることが求められ、というよりはそうであることが許されます。とても変に聞こえるかもしれませんが、私たちはなかなか自分自身ではいられないものです。それは社会や周りの人に合わせることがまるで真実のように教え込まれ、私たち自身もまた、そうすることが真実であると信じて疑わないからです。どこかでそれが真実ではないという違和感を覚えていながらも、それを見ないようにしたり気づかないフリをしたりします。あるいは、違和感を覚えているならば、それは周りとの軋轢を生じさせることになるし、何が正しいのか、自分は何なのかという青年期らしい迷路を彷徨うことになります。EGでは、外の世界での対人関係の持ち方がグループの中で再現されることになります。例えば、社会志向性の強い個人は自分に無理をしてでもグループ内でコミュニケーションを取ろうとしたりするかもしれません。彼に対してグループはしばらく調子を合わせ続けますが、十数時間もの長い時間を共に過ごすうちに、彼のそうした行動傾向を周りの人は段々と理解し始め、一方で彼自身もまたそうした傾向にどこかで気づきながら、そして無理をすることに疲れながらもなお続けようとします。周りも次第に合わせることに疲れ始め、彼はそのことを拒絶と受け止めてショックを受けたり、自分も無理をしていたことを認めることができたりします。その時に彼は始めて自分自身でいることがどういうことなのかを理解することができたのかもしれません。そうした彼の変化を見て、他のメンバーもまた自分自身のこころが揺さぶられ、固定された自己概念への疑惑と葛藤が生じていくことがあるかもしれません。

私たちは《絆》という言葉をよく好みます。それは、私たちが他者との目に見えないながらも確固たるつながりを求めているからなのでしょう。しかしながら、多くの人が口にしているほど、互いにつながっている、という感覚は得られていないようです。友達だから、と言いながらも結局のところ、他人は他人でしょ?という他者への諦め、失望、あるいは本当の私は誰にも分かってもらえないという恐れ、それらが私たちの対人理解の基盤にはあるかもしれません。それらの基盤がグループの中で共有されることを通して、EGでは本当の《絆》を見つけることができるかもしれません。

(4)学外心理臨床研修・実践
私は現在、病院の精神科にて実習をさせてもらっています。実習内容は場所によって様々あると思いますが、私のところでは初診陪席、予診、心理検査をしています。

ここでの実習体験が心理を志す人にとっては、実際の患者さんに関わる最初の機会となることだと思います。初診陪席では、患者さんが何に困っていて、それをどのように話すのか、ということを見ることができます。それは、本や論文で見かける主訴が、一体どんなものか実感として理解できるようになるかもしれません。あるいは、お医者さんがどのような聞き方、観点から患者さんに質問し理解しているのか、ということを観察することもできます。ここでの観察学習をもとに、予診で実際に患者さんから話を聞いていきます。実際の患者さんと話してみることで、色んな思い、気持ちが錯綜し、ひとつの理解に到達することができるようになるかもしれません。例えば、「怖い」という感覚もあれば、「あ、普通の人だ」という感覚だったり、それは様々でしょう。心理検査では、そうした体験とは異なる視点から、つまり客観的に査定、評価するという視点を学ぶことができます。そうした主観的な体験を大事にしつつ、客観的な視点も育むということが大事なのではないでしょうか。

<ゼミ紹介>

本学では、ゼミには学部3年生から参加することができます。現在、ゼミは水曜日と土曜日に行われております。水曜日は学部生主体のゼミ、土曜日は大学院生主体のゼミとなっておりますが、双方のゼミに学部生、大学院生が参加することができます。そのため学部生にとっては、研究に行き詰まったときなどは大学院生からのアドバイスをしてもらうことができるので、スムーズに研究を進めていくことができます。大学院生にとっても、学部生の多様な研究を通して、多角的な見方を育むことができます。また、研究テーマについても先生が幅広い関心をお持ちなので、あらゆる研究についてご助言していただくことができます。加えて、より専門的に研究していきたいという志をもった学部生は、平山ゼミで研究が重ねられてきた、EGや心理療法のプロセス、パーソナリティなどについて研究することで、研究者として本格的な研究を行うことができます。

ゼミの雰囲気については、お茶あるいはコーヒーとおいしい茶菓子が用意されるので、真剣に討論がされながらもゆったり、のんびりしているのが特徴です。

<将来の抱負と方向性>

目先の目標としては、博士後期課程に進学することです。現在、修士論文を作成しているので、目先の目標としては修士論文をもとにして、学術雑誌に論文を投稿したいと考えています。具体的には、研究テーマである「沈黙」に関する展望研究、「沈黙」に関する量的・質的研究について、私自身の理解を深めていきたいと考えています。ここでの理解を臨床に活かしつつ、「沈黙」の中で精神分析と人間性心理学とが出会う場、そして人間のこころの深淵な領域の探索をしていきたいと思います。そのための方法論の1つとして、現在はEGがよいのではないか、と考えています。

学部ゼミ生紹介

学部ゼミ生を紹介したい。将来、本学で心理学を勉強したいと考えている受験生や、ゼミ選択を検討している2年生、編入などを検討されている受験生は、参考にしてほしい。

【4年(当時) S君】

<研究テーマ>

私の研究テーマは、自我境界です。自我境界というと、言葉通り自我を境界づけるというものなのですが、ここでは自我を現象学的空間とみなし、それを取り巻く構成的構造体として捉えています。つまり、自分のものと自分でないものとの線引きをするようなものとして考えられると思います。この自我境界を測定する尺度として、現在ロールシャッハ・テストが挙げられますが、この方法では境界構造の複雑さや流動性を正当に評価できないと研究者は述べています。何と言っても、ロールシャッハでは分かりにくい。そこで私は、自我境界を象徴的な描画法によってその在り様をみることができないかと思い、室内画による自我境界の測定を考えています。

<研修報告>

私は平山先生の実習授業である「心理療法実習」を履修しています。とはいっても、これは講義ではありません。ここでは、先生は一切知識を教授しないからです。臨床家に必要な、知識ではない「何か」。その片鱗を垣間見る貴重な体験を提供してくれる授業です。ここで知った「何か」を知るだけでなく体験することのできる場、それがエンンカウンターグループです。「自分」を語るということ、人を「信頼」すること、そして人が「成長」すること。人はよく日常の中で、信頼していると分かっていても、疑わざるを得ないような時があります。エンカウンターグループでは、文字通り「心の底から信頼」する体験をするでしょう。

<ゼミ紹介>

平山ゼミの特徴といえば、緊張と緩和という両極的な状態が混在しているという点がひとつ挙げられます。緊張というのは、もちろんゼミで発表者が発言し、それを聞いて互いに意見を交わすということなのですが、その一方で先生はお茶(今後の予算次第で紅茶、コーヒーに昇進していく可能性も・・・?) を出してくださり、真剣な議論に一息入れてくださいます。さらに、種類豊富な茶菓子を予算の中で自由にゼミ生たちが用意し、おいしいゼミ(笑)でもあります。また、厳しいことで有名な平山先生ですが、よく御冗談をおっしゃるので、お茶のおつまみには事欠きません!

<将来の抱負と方向性>

私は進学を希望しています。いまの私の関心は、既述したような心を象徴的に把握していくことにあるので、今後の研究についてもしばらくは象徴表現を通してアプローチする手法をとっていくつもりです。院ではそういった研究の傍ら、クライエントの心を見えないものとして扱うのではなく、自分の中に彼の心というものを‘見て’理解していきたいと思っています。精神分析および人間性心理学は、そういった理解への一助となると思い、主にその二つを学びたいと思っています。ゆくゆくは臨床心理士として、カウンセリングに携わることができればと思い、日々勉強しております。

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ゲスト・スピーカーと客員教授

平山が担当する学部授業である「心理療法」「心理療法実習」、大学院授業「臨床心理面接特論Ⅰ・Ⅱ」では、海外の研究者、心理学者、精神分析家をゲストに時々招いて講義をお願いしている。また、平山と交流のある海外の研究者を招いて、集中講義をお願いしている。

ゲスト・スピーカー

Peter Berton教授

2006年10月20日(金)に、南カリフォルニア大学国際関係学部名誉教授のBerton教授を平山の授業にゲスト・スピーカーとして招き、講義をお願いした。Berton教授は、東アジアの政治と外交を専門とする研究者であり、同時に、Los Angeles精神分析研究所に所属する精神分析家でもある。Stanford大学やUCLAでも教え、Harvard大学、Columbia大学、東京大学でリサーチポジションを獲得され、1995年には国際日本文化研究センターで客員教授も務められている。今回は、アメリカにおける精神分析の歴史、アメリカ精神分析学会と日本の精神分析家、精神分析と日本文化について講演していただいた。

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Edward Hoffman博士

2006年11月10日(金)に、New Yorkを拠点に活躍している米国を代表する人間性心理学者であり、Journal of Humanistic Psychology編集者の一人でもあるHoffman博士をゲスト・スピーカーに招き、講義をお願いした。Hoffman博士は、Maslow, A.の人間性心理学の紹介者として高名である。また、人間存在の本質への直感と時代を超越した深い洞察から、芸術、文学、精神医学に影響を与えているというユダヤ教神秘主義カバラーの研究においても第一人者(ホフマン著『カバラー心理学:ユダヤ教神秘主義入門』人文書院)である。今回は、「マズローの生涯と遺産(The Life and Legacy of Abraham Maslow)」「至高体験の理解(UnderstandingPeak-Experiences)」「スピリチュアリティー、神秘主義、そして人間性心理学(Spirituality, Mysticism and Humanistic Psychology)」について講演していただいた。

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Edward Hoffman博士

2009年10月9日(金)に、2006年に引き続き、Hoffman博士をゲスト・スピーカーにお招きした。今回は、Hoffman博士は、東京大学客員教授として1ヶ月間日本に滞在された。事前に日程を組み、今回の講義に加えて、講演会とセミナーを企画した。 講義では、「Evolution of Humanistic Psychology (人間性心理学の進化)」「Psychotherapeutic Interview (心理療法面接)」について講演していただいた。

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客員教授の招聘

Steven Lopez教授

2007年7月17日~23日まで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校心理学部のLopez教授を青山学院大学客員教授として招聘し、大学院での6日間の集中講義を開講した。これは、通年科目としての単位が認められる大学院の通常の授業として実施された。

講義の概要:「心理療法演習Ⅰ・Ⅱ:文化とメンタルヘルス」 Lopez, S.客員教授

「この授業では、心理臨床における文化の重要性を明らかにする臨床研究を展望する。第1に、文化についての多様な概念規定、そして、文化と精神衛生についての多様な研究法を展望する。次に、精神病理、心理査定、そして心理療法に文化がどのように関与しているのかを検討する。最後に、UCLAにおいてLopez博士と同僚によって発展させられた、文化的視点を心理療法に統合するモデルについて学ぶ。とりわけ、学生諸君が、クライエントの文化的に基礎づけられたものの見方を査定できるようになるために、クライエントとどのような共同作業関係を形成することが必要であるのかについて学ぶことになる。この共同作業関係については、関与、査定、理論、そして様々な方法といった領域から検討される。学生諸君には、人間行動における文化の役割について批判的に考え、こうした批判的見地を心理療法にどう適用するのかについて学んでいただきたい。」
※この授業は英語でなされる。受講生は、ある程度の英語力があることが望ましい。6月初旬に、Reading Assignmentが平山栄治教授から提示される。この授業では、平山教授が補助教員を務め、特に理解が難しいところ、全体的なまとめ、質疑応答などについて、補足的解説と通訳を行う。

集中講義の内容

17名の受講生が、事前に25本の英語文献に目を通し、集中講義に臨んだ。Lopez教授の講義の構成は、Introduction, Who is Professor Lopez?, Why Culture Matters, Six Cultural Principles, Treatment Domains (Engagement, Assessment, Theory and Methods), Identifying What’s at Stake”, Applying Principles in Treatment, Conclusionとなっていた。高度に構造化された授業構成の中で、膨大な資料がパワーポイントを用いて駆使され、映画などのビデオクリップもたくさん使用され、更に、体験学習が毎回組み込まれた。集中講義は、大成功であり、受講生たちに大きな感動を与えた。

受講生の授業評価

授業終了後、アンケート調査が実施された。各質問項目について、「非常にそうだ」(7点)から「全くそうでない」(1点)までの7段階評定と自由記述を依頼した。各質問項目への評定平均値は次の通りである。

①「今回、あなたはこの授業を通して新たに多くのことを学びましたか」:6.9
②「それは今後のあなたの心理専門職としての発展に役立つと思いますか」:6.8
③「実際に、英語で最新の研究成果に触れることは、あなたにとって大きな意味がありましたか」:6.8
④「平山教授によるサポート、要約、通訳、およびコメントは、あなたがこの授業の理解を深めるのに役立ちましたか」:6.8

受講生の感想

次に、受講生の自由記述の内容をいくつか紹介しよう。

・「文化とメンタルヘルスがどのように関係しているのか、初め、授業を受ける前までは分からなかったが、授業を受けて、いかに文化とメンタルヘルスが密接に関わっているのかが分かりました。この授業で触れたことすべてが新しい知識で、情報で、経験でした。授業中には、具体的にクライエントへの質問を交えたエクササイズがとても具体的で、今後の面接で役立つと感じました。Shifting Cultural Lensesという考え方自体が、いろいろな文化的・社会的背景を持つクライエントと、今後接していく中で、必要不可欠なものだと感じています。 自分の考えを英語で伝えることは6日間が終わった今でも難しいと感じているが、ロペツ先生の話している英語を聞き取る力は、初日と比べると、明らかに向上しました。私が興味のある分野が日本ではほとんど研究されていないので、アメリカを中心とする論文をスムーズに読めるようになりたいと思っています。 あぁ、そうなのか!と納得する研究結果や、ハッと驚くような研究成果と出会うことができたことは、私の知識を広げるものでした。 私は英語が得意ではないので、平山先生のサポートなしでは、この6日間出席することができなかったと感じています。平山先生のサポートがあったからこその、今の私のロペツ先生の授業の理解があります。6日間、ありがとうございました。 この授業のすべてが私にとって、新しい知識であり、新しい経験との出会いでした。私がこの授業で受け取った最大のプレゼントは、Shifting Cultural Lensesを通して、今まで(精神的)暗黒大陸にいる人々に、一条の光を当てる、その道具を手に入れたことです。」

・「人と人が文化的差異に気付かないことで、分かりあえる可能性を狭めているし、それに気づけることで、こんなにも分かり合えるようになるということは本当に素晴らしいことだと思うし、とても感動しました。私はあまり英語が得意ではないのですが、初日と比較して、最終日はかなり聞き取れるようになったと感じています。全体的に(英語力が)向上したのではないかと思う。今まで学んだことのない側面に触れることができ、自分の視野が広がったように感じています。また、英語で授業を受けたことで、直に伝わってくるものがありました。平山先生には、初日から最終日まで大変お世話になりました。Lopez先生の言葉と平山先生の言葉が相互作用して、自分の中でより深い理解につながったように思います。とても濃い1週間でした。Lopez先生の理論を学び、実践し、それを振り返ったことで、気付きが深められ、自然と理論が自分に組み込まれていくように感じました。改めて、このような素晴らしい授業をして下さったLopez先生に感謝するとともに、貴重な機会を与えて下さった平山先生に感謝します。本当にありがとうございました。」

・「今までクライエントの文化や背景を視野に入れて考えることをしてきていませんでした。しかし、クライエントの背景、文化を考えるという思考の仕方を教えていただき、自分の視野が広がったと思います。平山教授の通訳がなければ、この授業を深く理解することができませんでした。ありがとうございました。Lopez教授の授業を受けることができて、非常に有意義な時間を過ごすことができました。本当に夢のような素晴らしい6日間だったと思います。本当にありがとうございました。」

・「Lopez先生の理論も素晴らしかったですが、授業の構成、展開、緻密なデータと、圧倒されました。クライエントだけでなく、日常の人間関係においても見方が変わると思います。もっと事前に英語の勉強をしておけばよかったと後悔しています。今日のような後悔をしないように、英語力を向上させたいと思いました。平山先生のサポートがなかったら、この授業の理解が半減してしまうところでした。お疲れになったと思いますが、ありがとうございます。講義期間中、塾での仕事があり、早速実践してみて、塾での授業がより有意義なものとなったと思います。もっと自分の英語力をあげて、もっと吸収できればと思います。今日のような貴重な体験を提供していただき、ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。」

最後に

最後に、Lopez教授は、「平山教授が、また来いと言ってくれるなら、私はいつでも青山学院大学に来ます」と学生たちに公言して、講義を終えた。

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大学院ゼミ卒業生の紹介

次に、現在、臨床心理士として一線で活躍されている気鋭の平山ゼミ卒業生を紹介しよう。

富田 悠生
勤務先:
明星大学心理学部特任准教授
最終学歴:
2014年3月青山学院大学大学院教育人間科学研究科心理学専攻 博士後期課程単位取得済退学
大学院修了後の研修歴(1年以上の長期研修に限定):
・慶応心理臨床セミナー:2006年から現在まで
・ケース・カンファレンス・グループ 神田橋研究会:2008年から現在まで
・治療者のための箱庭療法(田中千穂子先生):2004年から2005年まで
・第9回成田善弘精神療法ケースセミナー:2005年から2006年まで
・東京ロールシャッハ研修会(岡部祥平先生):2005年から現在まで
・平山ゼミOB臨床カンファレンス・心理臨床セミナー:2008年から現在まで。
臨床研究のテーマ:
・心理療法が進展する際の契機について
・治療者によるα機能の過程について
・コンテイニングにおけるもの想いの意味
・心理療法において治療者の自我理想や超自我が阻害的に働くことについて
臨床実践:
・開業,医療領域における精神分析的心理療法,およびアセスメント
研究業績:
・富田悠生(2019):偽りの関係性からの移行 精神分析研究 第63巻2号
・富田悠生(2019):投影同一化のコミュニケーションに基づく積極技法-成人の自閉症スペクトラムへの精神分析的アプローチ- 精神分析研究 第63巻1号
・富田悠生(2018):主治医と心理士の連携が構築される過程について 人間関係学研究 第23巻1号
・富田悠生(2017):転移/逆転移に気づくこと-視覚的映像/無意識的空想が示唆する転移/逆転移に関する検討- 青山学院大学心理臨床研究 第16号
・富田悠生(2016):エディプス・コンプレックスの発展 青山学院大学 教育人間科学部紀要 第7号
・富田悠生(2014):見せかけの関係を生きた女性との心理療法過程 精神分析研究 第58巻4号
・富田悠生(2013):精神分析(精神分析的心理療法)における解釈について 青山学院大学 教育人科学部紀要 第4号
・富田悠生(2013):エディプス・コンプレックス概念に関する覚書 青山心理学研究第12号
・富田悠生(2013):精神分析的心理療法における空想について 青山学院大学心理臨床研究第13巻
・富田悠生(2012):アセスメント面接と転移/逆転移 青山学院大学教育人科学部紀要 第3号
・富田悠生・平山栄治(2012):精神分析における心的外傷の概念について 青山心理学研究第11号
・富田悠生(2012):精神分析を体験すること,学ぶことについて 青山学院大学心理臨床研究第12巻
・富田悠生(2011):アセスメント面接と転移/逆転移 青山学院大学教育人間科学部紀要 第3号
・富田悠生・平山栄治(2011):精神分析における心的外傷の概念について 青山心理学研究 第11号
・富田悠生(2011):精神分析を体験すること、学ぶことについて 青山学院大学心理臨床研究 第12巻
・富田悠生(2010):面接記録(プロセスノート)を書く意味について 青山学院大学教育人間科学部紀要 第2号
・富田悠生(2010):治療構造論からみた精神科デイケアの構造 青山心理学研究 第10号
・富田悠生(2009):精神分析において逆転移を認識すること―転移関係によって生じる対象について思索すること― 青山心理学研究 第9号
・富田悠生(2009):精神分析における逆転移概念の変遷と治療的意義 青山学院大学教育人間科学部紀要 第1号
・藤代潤・富田悠生・内田修二・竹内知夫(2006):オランザピンにより症状悪化を未然に防ぎえた前駆期/発症ごく初期の統合失調症患者―ザイディス錠の使用感想も含めて― 臨床精神薬理 第9号10巻
<学会発表>
・富田悠生(2013):転移/逆転移に気づくこと―視覚的映像が示唆する転移/逆転移に関する検討― 日本心理臨床学会第32回大会 大会シンポジウム(理論研究)
・富田悠生(2013):見せかけの関係を生きる女性との心理療法過程 日本精神分析学会 第59回大会 研修症例
・富田悠生(2010):面接設定の変更が繰り返された心理療法過程 日本心理臨床学会 第29回大会 事例研究
・富田悠生(2009):問題行動を繰り返す境界例女性との心理療法過程 日本心理臨床学会第28回大会 事例研究
・富田悠生(2007):箱庭療法において表現される自己像―箱庭に表現された自己像と意識的自己イメージとの関連についての検討― 日本心理臨床学会第26回大会 ポスターセッション
今後の展望:
現在の博士後期課程在学中に博士号を取得できるよう努力する。そのための要件を満たすよう論文執筆と学会発表を継続して行う。精神分析的心理療法の研鑽を続け、精神分析学会認定資格である認定心理療法士の取得を目指す。その要件を満たすために、精神分析学会での発表や論文執筆、SV・講義受講などを継続的に行う。特にKleinian approach(転移‐逆転移をhere and nowで扱う手法)を身につけていきたいと思う。
中鉢 路子
勤務先:
青山学院大学教育人間科学部心理学科助教
最終学歴:
2004年3月青山学院大学大学院文学研究科心理学専攻博士前期課程修了
・卒論題目:「祈りの文学―大江健三郎論考―」(指導教員) 永藤武教授
・修士論文題目:「エンカウンターグループにおける共感・共感不全体験」(指導教員)平山栄治教授
大学院修了後の研修歴(1年以上の長期研修に限定):
・慶応心理臨床セミナー:2005年から2008年まで
・ロールシャッハ・スーパービジョン(餅田綾子先生):2004年から2008年まで
・グループ・スーパービジョン(三國牧子先生):2006年から2008年まで
・平山ゼミOB臨床カンファレンス・心理臨床セミナー:2008年から現在まで。
現在関心のある臨床研究のテーマおよび臨床実践:
・関係性を重視した個人心理療法の実践(精神分析、パーソンセンタードアプローチに関心がある)
・境界性人格障害対象のグループワーク
研究業績:
・石川亮太郎・小川信之・中鉢路子(2013)精神科デイケアにおける集団認知行動療法の効果の検討―抑うつ,不安の低減を目的として.デイケア実践研究,日本デイケア学会,16巻,2号,pp21-30.
・兼田康宏,・住吉太幹・中込和幸・ 池澤聰・ 大森哲郎・ 古郡規雄・ 功刀浩・ 松尾淳子・ 宮本聖也・ 中村純・ 久住一郎・ 岡久祐子・ 小林正義・ 岡村愛子・ 鈴木雄太郎・ 管心・ 尾崎紀夫・ 吉田泰介,・長田泉美・ 加藤淳一・ 浦田暁菜・ 佐久間寛之・ 永嶌朋久・ 石郷岡純・ 船橋英樹・ 羽下路子・ 赤澤将文・ 芳賀大輔・羽鳥乃路・ 原田俊樹・ 中谷真樹・ 児嶋亮・ 上原優子・ 松本香子(2013).統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)標準化の試み,精神医学,Vol55,No2,医学書院.
・羽下路子・小川信之(2012)デイケアにおける個人を対象とした心理的援助の試み.別冊季刊東京精神病院協会誌,No.26,285-288.(東京精神病院協会)
・中原さとみ・遠藤洋・立川雅一・堀由美子・吉尾隆・中谷真樹・有泉博・羽下路子(2008)桜ヶ丘記念病院における就労支援プログラム.病院地域精神医学,50,(4),332-334.(病院地域・精神医学会)
・羽下路子・加賀美妙子(2005)統合失調症患者の描画変化と看護者により観察された症状変化の関係.別冊季刊東京精神病院協会誌,No20,245-248.(東京精神病院協会)
・吉沢伸一・羽下路子(2005)青年期グループにおける幾つかの試みの報告-「社会」という抽象度の高いテーマをあえて導入することの意義.青山学院大学心理臨床研究,第5巻,69-77.
・羽下路子(2004)サンドール・フェレンツィの晩年における理論展開―言葉の混乱をめぐって-.青山学院大学心理臨床研究,第3巻,69-78.
今後の展望:
ここしばらくは、子育てと現在勤めている病院の勤務との両立をし、仕事と参加できる勉強は続けたいと思っています。慶応心理臨床セミナーなど、いま、続けていた勉強はいったん休止とし、勤務を優先させようと思っています。将来は、勉強や講習を再開したいと思います。(30代後半くらいからになってしまうと思うのですが、)本格的なスーパービジョンやトレーニングを受けたいと思っているのと、もう少し自分の関心や研究テーマや臨床を絞り40歳にはいる前には博士課程に挑戦したい気持ちがあります。
吉沢 伸一
勤務先:
ファミリーメンタルクリニックまつたに。青山心理発達相談室。東京都公立中学スクールカウンセラー。
最終学歴:
2003年3月 青山学院大学大学院文学研究科博士前期課程心理学専攻臨床心理学コース修了
・卒論題目:「青年期におけるアイデンティティ拡散の肯定的側面の検討―自己疎外的観点からのモラトリアム心理について」(指導教員)平山栄治教授
・修士論文題目:「青年期のアイデンティティ形成における「自己と社会の位置づけ過程」」(指導教員) 平山栄治教授
大学院修了後の研修歴(1年以上の長期研修に限定):
・精神分析セミナー:2007年から現在まで
・対象関係論勉強会:2007年から現在まで
・関東精神療法セミナー:2005年から2007年まで
・相州精神療法セミナー:2006年から2008年まで
・西新宿臨床セミナー:2007年から現在まで
・心理面接個人スーパービジョン:2003年から現在まで
・プレイセラピー個人スーパービジョン: 2006年から2009年まで
・ロールシャッハ・テストのグループ・スーパービジョン:2004年から現在まで
・児童精神療法グループ・スーパービジョン:2009年~現在まで
・平山ゼミOB臨床カンファレンス・心理臨床セミナー:2008年から現在まで
現在関心のある臨床研究のテーマおよび臨床実践:
・心理療法における治療の行き詰まりと、そこからの進展
・幼児・児童の心理療法、思春期・青年期・成人期の心理療法、および集団精神療法における自らの具体的な実践例から、その進展-停滞を左右する諸要素を明確化すること。
研究業績:
<研究論文>
・吉沢伸一(2012):精神分析的心理療法の初期プロセスで"書き言葉を持ち込むこと":その力動的理解と取扱い. 心理臨床学研究(日本心理臨床学会), 第30巻3号.
・吉沢伸一・飯岡慈生・熊田知佳・飯野晴子・青山桂子・木部則雄(2012):子どもの精神分析的心理療法におけるアセスメントⅠ(2)治療構造を舞台として展開する子どもの心的世界 : 実践的理解. 白百合女子大学発達臨床センター紀要 (白百合女子大学発達臨床センター), 第15巻.
・飯野晴子・熊田知佳・飯岡慈生・青山桂子・吉沢伸一・木部則雄(2012):子どもの精神分析的心理療法におけるアセスメントⅠ(1)精神分析的治療構造. 白百合女子大学発達臨床センター紀要 (白百合女子大学発達臨床センター), 第15巻.
・吉沢伸一(2011a):自己否定の『無限ループ』で苦悩する成人男性との心理療法過程. 精神分析研究(日本精神分析学会), 第55巻4号.
・吉沢伸一(2011b):個人心理療法における「行き詰まり」状況の把握と、その扱いおよび進展に関する諸要因の検討 : 児童期の被虐待・思春期のひきこもり・青年期以降の人格障害に対する精神分析的な治療に焦点化して. 研究助成論文集(明治安田こころの健康財団), 第47号.
・吉沢伸一(2011c): サイコセラピーにおける内なる社会 ―セラピー関係に持ち込まれる「心的リアリティとしての社会」―. サイコセラピー学会誌(日本サイコセラピー学会), 第13巻.
・吉沢伸一(2010):精神分析的心理療法における"行き詰まり"とその扱い ―文献的展望Ⅰ. 青山心理学研究(青山学院大学心理学会), 第10巻.
・吉沢伸一(2007):心理臨床家のアイデンティティ発達における初期経験の意義―歩み直しの作業と内的地図の創造―. 鑪先生からのコメントをいただいて―臨床の中での、納まりのつくもの、納まりのつかないもの― 青山学院大学心理臨床研究 第7巻.
・吉沢伸一(2005):大学生を対象とした「自己と社会の内的関係」の探索―青年期のアイデンティティ発達における「心的リアリティとしての社会」の意味―. 青山心理学研究 第5号.
・吉沢伸一・羽下路子(2005):青年期グループにおける幾つかの試みの報告―「社会」という抽象度の高いテーマをあえて導入することの意義 青山学院大学心理臨床研究 第5巻.
・吉沢伸一(2003):別室登校児が教室に復帰していく過程での関わり―小学校での訪問相談活動の報告― 青山学院大学心理臨床研究 第3巻.
今後の展望:
・博士後期課程への進学。
・プライベートオフィスを持てるだけの、臨床の力をつけること。
・臨床心理士養成および教職への関わり。
鈴木 研司
勤務先:
メンタルクリニック横浜みなとみらい
最終学歴:
2018年3月 青山学院大学大学院教育人間科学研究科心理学専攻博士後期課程修了。
修論題目『エンカウンター・グループにおける沈黙の質的変化と心理的成長について』(指導教員 平山栄治教授)、
博論題目『エンカウンター・グループにおける心理的成長に関する効果と過程について』(指導教員 平山栄治教授)。博士(心理学)。
現在関心のある臨床研究のテーマ:
・精神分析的心理療法、自己愛、シゾイドパーソナリティ、心理的成長
臨床実践:
・精神科クリニック専任心理士として、個人心理療法、初診、心理検査などを実践。
研究業績:
鈴木研司・平山栄治(2011): 沈黙の現象学に関する覚書―エンカウンター・グループ体験を通して― 青山心理学研究 第11号
鈴木研司・平山栄治(2014): エンカウンター・グループにおける沈黙とグループ・プロセスについて.心理臨床学研究(日本心理臨床学会)第32巻第4号.
鈴木研司・平山栄治(2015): エンカウンター・グループにおいて心理的成長がもたらされるメカニズムについて.心理臨床学研究(日本心理臨床学会)第33巻第5号.
鈴木研司・平山栄治(2017): ロールシャッハ・テストから見たエンカウンター・グループ効果に関する事例研究.心理臨床学研究(日本心理臨床学会)第34巻第6号.
今後の展望:
学位取得後は個人心理療法にようやく専念できる環境に身を置くことができるようになりました。しばらくはこの環境のなかで、患者さんとの相互交流に埋没してそこで起こっている現象を観察・経験していきたいと思っています。それらが十分蓄積された暁には、そう思えるまでどれほどの時間を要するのかまだ分かりませんが、また自分の言葉でまとめあげていく作業に取り掛かりたいと思います。

アルバムから

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